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技術コラム

COLUMN

クリーンな電磁環境を提供する電波吸収体 マイクロソーバー® 電波吸収の原理と製品を紹介

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 現代の生活において、電波は様々な機器に利用されており、必要不可欠なものです。携帯電話や、無線LAN、非接触型ICカード読み取り装置、GPS、ETCシステム、車載レーダーなど、身近なところに電波(周波数3THz以下の電磁波)を活用した機器が多数存在しています。
 電波を活用する際には、クリーンな電磁環境が必要です。例えば、アンテナからの直接送られてくる電波以外に、壁などで反射した電波が届くことで干渉を起こし、上手く受信できない場合があります。他にも、PC内のCPUや、駆動装置内のモーターのように、強い電磁波を発する部品からの影響により、他の電子部品が誤作動を起こす場合もあります。電波の利用では、不要な輻射や他の機器からの電磁波によるノイズを適切に遮蔽・吸収する材料が非常に重要になります。
 電波吸収体のマイクロソーバー®は、小型電子機器から建築構造体まで、様々なシーンでクリーンな電磁環境を提供します。

電波吸収体の各種メカニズム

電波吸収体による電波吸収のメカニズムとして考えられるものは幾つかあり、主な物を以下に挙げます。
電波吸収では、これらのメカニズムのいずれか、または複合して用いられることで電波吸収を行っています。

反射損失

波は位相のズレによって打ち消しあう性質を持ちます。この性質を用いたものが反射損失による電波吸収です。
空気中を伝搬している電波は、金属などの反射物にあたると反射します。
反射物の前に、任意の誘電率・透磁率を持った任意厚さの物質(誘電体、磁性体)を置くことにより、空気と物質の境界で生じる反射波と、物質を通過して金属まで伝搬することで生じる反射波が発生します。2つの反射波が、位相のズレによって打ち消しあうことで減衰し、電波吸収が行われます。
反射損失による電波吸収では、電波の位相のズレは波長(周波数)と物質内の距離(物質の厚さ)によって変化するため、使用周波数が決まっている比較的狭い帯域における電波吸収に用いられます。

反射損失

磁気損失

磁気損失による電波吸収では、磁界の急激な変化による磁化の遅れで生じるエネルギーが、熱に変換されて損失することで電波吸収が行われます。
フェライトなどの磁性体では、材質によって特定の周波数帯において磁気損失が大きくなり、高い電波吸収効果が得られます。この性質により電波吸収体の素材として用いられます。
磁気損失による電波吸収では、電波吸収体を数mm程度の薄型に成型することも可能で、比較的広帯域の電波吸収特性を持ちます。

磁気損失

誘電損失

誘電損失による電波吸収では、電場の変化により誘電体の内部に熱が生じることでエネルギーが失われ、電波の吸収がおこなわれます。
誘電損失による電波吸収体は、ゴムや発泡体などの絶縁体にカーボンなどの導電粒子を混ぜ込んで作られ、厚みや形状が大きくなります。
※ マイクロソーバー®の電波吸収体ラインナップでは、誘電損失を利用した製品は御座いませんが、電波吸収メカニズムのひとつの説明として記載しております。

マイクロソーバー®の2タイプの電波吸収原理

電波吸収体マイクロソーバー®はノイズ除去の原理の異なる「遠方界用共振型電波吸収体(反射減衰タイプ)」と「近傍界用抑制型電波吸収体(干渉・共振抑制タイプ)」のタイプがあります。
どちらのタイプも、シート裏面のシールを剥がして貼るだけで、GHz帯の輻射ノイズなどの妨害電波を吸収し、クリーンな回路を構成できます。

マイクロソーバー®の対応周波数表

遠方界用共振型電波吸収体(反射減衰タイプ):SIWシリーズ

電波吸収体マイクロソーバー® SIWシリーズは、反射損失の原理を用いた電波吸収体です。
また、吸収体に磁性体の特性を持たせることで、磁気損失の効果により電波吸収の効果を高め、より薄型を実現しています。本吸収体を貼り付けることで、任意周波数(波長)の電波の反射を減衰させます。
小型コンバータ内の不要輻射低減から、構造体からの反射抑制など、特定周波数の吸収に利用可能なシートタイプの電波吸収体です。
車載レーダーやETCゲートなど、特定周波数帯の電波を、離れた位置で送受信するような用途に活用できます。
柔軟性があるため取り扱いが容易であり、難燃性(UL94V-0取得品有)で、RoHS指令にも対応しています。

 
遠方界用共振型電波吸収体(反射減衰タイプ)
 
遠方界用共振型電波吸収体(反射減衰タイプ)

近傍界用抑制型電波吸収体(干渉・共振抑制タイプ)

電波吸収体マイクロソーバー® ES-88、ED-70、EH-66シリーズは、磁気損失の原理を用いた電波吸収体です。
配線や電子部品などの回路は、電流が流れることで磁界が発生し、他の回路に対し共振や干渉ノイズを発生させます。
磁界を発生させる回路に電波吸収体を貼り付けることで磁界を集めて熱に変換し、干渉や共振を抑えることが可能です。
シートタイプで柔軟性があるため取り扱いが容易であり、RoHS指令、ハロゲンフリーに対応しています。携帯電話やモバイル電子機器、パソコンやゲーム機などに用いられています。

近傍界用抑制型電波吸収体
 
近傍界用抑制型電波吸収体
 
近傍界用抑制型電波吸収体

電波吸収体マイクロソーバー®の更なる用途

電波吸収体マイクロソーバー®は、電波を使用する各種装置、ノイズ対策の必要な電子機器向けに広く利用が出来ます。
更に、より高周波数の電波を使用する次世代高速通信機器向けや、RFIDタグによる無線通信機器向けの製品など、周波数帯に合わせて様々な機器の干渉、ノイズ対策に対応することが可能です。

5G基地局のアプリケーション

5G(3.7GHz, 4.5GHz, 28GHz帯域)の基地局では、アンテナや送受信装置などがあり、アンテナ周辺では不要輻射対策や指向性向上が必要であり、受送信装置では不要輻射対策やノイズ対策が必要となる場合があります。
用途、周波数に合わせ、反射減衰タイプ、干渉・共振抑制タイプの電波吸収体の利用が考えられます。

RFIDアプリケーション

フェライトなどでは、一定の周波数帯において透磁率が低下するのとは逆に、特定の周波数において透磁率が増加して電磁損失が小さくなり、電波を通しやすくなる性質も持っています。
この性質を利用して、電波が金属などで反射して起こる通信への影響を、電波を通しやすくすることで防ぐ、磁性シート材として用いられる場合もあります。
13.56MHz帯RFIDシステムは、金属の影響を受け易く、R/Wおよびタグの近傍に金属が存在すると、通信に必要な電力と信号を搬送する磁束が打ち消されるために、通信距離が著しく短くなります。
また、金属物にタグを直接貼ると通信ができなくなります。この問題に対応するために電波吸収体の使用が考えられます。
タグと金属との間に電波吸収体を貼り付けることで、金属の影響を受ける前に磁束がシート内から外に流れるため、打ち消しが軽減され、通信距離を回復・改善させることができます。

近傍界用抑制型電波吸収体

クリーンな電磁環境で安定した電波の活用

次世代通信は5Gから更に高速となる6Gへの研究が始まり、ミリ波からテラヘルツ波へと更なる高周波化が進んでいます。
また、IoT機器の普及により、無線通信機能を備えた装置が多く身近に存在するようになりました。
これら機器の安定した動作には、不要ノイズの対策が必要となる場合があり、電波吸収体による改善が必要となる物もございます。
今後、機器の高性能化に伴い、多様化する電波環境の中でマイクロソーバー®は、次世代の通信機器、電子機器等にクリーンな電磁環境を提供し、安定した電波の活用に貢献します。

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