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技術コラム

COLUMN

EMI対策の基礎|EMIシールドの原理と種類

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「5G」など無線通信機器の技術レベルの高まりにより、工場など生産現場や一般社会のIoT化が進み、自動車の電動化など電子制御機構も多様かつ複雑化しています。

電気・電子機器の小型化や高機能化が進む中、さまざまな周波数の電磁波が伝播しており、電磁波がノイズとなって通信障害や機器の誤動作などを発生させ、本来の能力を発揮できないばかりか、重大事故につながるリスクも秘めています。そのため、電磁波ノイズ自体の拡散防止対策として「EMI対策」が必須となっています。

ここでは、EMIについての基本やEMI対策の中でも特に重要な「EMIシールド」の原理や種類について解説します。

EMIとは何か

「EMI:Electromagnetic Interference」は電磁障害という意味で、「エミッション」とも呼ばれ、電気機器などが周囲に不要な電磁ノイズを放出することです。電子機器や各種部品が動作する際に発生させる電磁波ノイズは、周囲にあるほかの電子機器の誤動作や通信障害などを引き起こすだけでなく、人間の健康にも悪影響を与える可能性があります。

電磁波とは?

電磁波は、電界と磁界で成り立つ連続的に発生する波のことです。電磁波は、電気が流れる場所では必ず発生し、電界と磁界は交互に振動しながら空間を光速で伝搬しています。

電磁波とは?

電磁波は、1秒間に繰り返す波の数である「周波数:Frequency」の違いによってさまざまな特徴を持ちます。

送電線のような電力設備やテレビ/ラジオの放送電波など、日常的に身近で発生している電磁波の周波数は大きく異なっている場合もありますが、逆に違う電子機器同士で使用周波数帯域が近いこともあります。

電磁波とは?

電子レンジ(電磁波を使用して食品の加熱・調理をする器具です)と無線LANは同じ 2.4GHzを使用していますが、もしEMI対策が十分に施されていなければ、電子レンジから漏れた電磁波が無線LANにとってノイズとなり、通信に障害をきたす原因となりえます。

EMIとEMSの違い

「EMS:Electromagnetic Susceptibility」は電磁感受性という意味で、「イミュニティ」とも呼ばれます。

EMIが電磁波の発生によって内外に悪影響を与えることに対して、EMSは電子機器や各種部品が、EMIの影響を受けても正常に動作できるように電磁波への耐性が備わっていることを指します。

EMIとEMCの違い

「EMC:Electromagnetic Compatibility」は電磁両立性という意味で、EMIの影響力が小さくかつEMSが備わった状態であることを指します。

つまり、EMCを有するということは、電子機器や各種部品から発生する電磁波が周囲の機器の動作を妨害するEMIによる影響力が小さく、尚且つ外部や内部からの電磁波の影響を受けても正常に動作するEMSに優れているということです。

自動制御などに用いられるような精密電子機器には、高いレベルでのEMC保証が求められています。

EMIによって発生する問題

電気・電子機器は、電気を使用する以上は電磁波が必ず発生します。特定の周波数で機器制御や情報通信を行っている場合は、電磁波はノイズとなってさまざまな影響を受けます。

1. 電気・電子機器の誤作動

自動車や飛行機などの輸送機や生命維持に関わる機器など、人の命に直接関わる機器に使用する計器の電子化と高機能化が進んでいます。スマートフォンなどが発する電磁波ノイズは、信号ケーブルや通信機器に影響を与え、電子制御が本来の機能を果たさなくなる可能性があります。重大事故防止のために、幾重もの安全対策とともにノイズ対策も徹底されています。

また、工場などで新たな設備を導入する際には、EMCが不十分な既存機器に電磁波ノイズが影響を与え、誤動作の原因となることもあります。

2. 通信障害や情報漏洩

Wi-FiとBluetoothなど周波数帯域が近い機器を複数使用している際は、電波干渉を起こして通信速度が遅くなったり通信が途切れたりすることもあります。

2020年から実導入が進んでいる「5G」は、高速で大容量の通信が可能です。これまでの「4G」とは異なる周波数帯を使用し、情報量も増えることから、他の電子機器と想定外の電波干渉を起こす可能性もあります。

また、パソコンなどからは様々な信号が断続的に電磁波となって放射されています。この電磁波には機密情報も含まれているため、受信/解析されることにより情報漏洩の危険性もゼロではありません。

3. 人体への健康被害

身の回りで通常発生している電磁波の中で、人体の健康に深刻な被害を与えるものはありません。病院でのレントゲン撮影や工場の解析装置に使用されるエックス線は、安全対策が取られています。また、スマートフォンなどの携帯端末などは、電波防護指針によって基準遵守が義務付けられています。

ただし、熱作用や刺激作用といった生体作用があるのは事実であり、電磁波への過度な不安による健康リスクもあります。

EMIの対策方法

EMCのレベルを高めることで電磁波ノイズによる影響を防ぐためには、EMI対策は欠かせません。電磁波は、以下のように電気・電子機器のさまざまなところから漏れ出しています。

筐体:ケースの材質や厚みによっては外部に影響を与える電磁波が漏れる

開口部:通気孔やアクセスパネルなどから電磁波が漏れる

ケーブル:信号伝達ケーブルなどがアンテナ化して電磁波を放出する

また、漏れ出す電磁波ノイズも伝播の仕方によって以下のように分けられます。

伝導ノイズ:電源ケーブルやLANケーブルなどを通して伝播するノイズ

放射ノイズ:空気中を伝播するノイズ

つまり、EMI対策のためには、伝導ノイズの発生源や伝達経路はもちろん放射ノイズの拡散を防ぐ対策が必要になります。

3. EMI対策の種類

EMI対策にはさまざまな方法があり、代表的なものとしては以下のようなものがあります。

対策方法 対象となるノイズ 対策の種類
シールディング 放射ノイズ 電源ケーブルのシールディング導電性ガスケット電波吸収体エキスパンドメタル・金属メッシュなど
フィルタリング 伝導ノイズ フェライトコアコモンモードチョークコイルEMIフィルタ など
グラウンディング 伝導ノイズ シグナルグラウンドフレームグラウンドパワーグラウンド など

電源ケーブルや通信ケーブルなどはノイズの伝達経路になるだけでなく、放射ノイズを発生させることもあります。そのため、電線の物理的な防護だけでなく電磁波のシールディング対策も踏まえた対策が欠かせません。

EMI対策についてのご相談は株式会社TWCへ

株式会社TWCでは、熱対策製品と共に、電子機器部品のEMI対策についての知見も豊富です。EMIシールド用の各種製品を取り扱っておりますので、EMI対策についてお悩みの方は、是非お問い合わせください。

EMIシールドによるEMI対策

電磁波の放射ノイズ拡散防止に用いられる手法が「EMIシールド」です。ここでは、EMIシールドの原理や効果、種類について解説します。

EMIシールドの原理

EMIシールドは、電磁波のエネルギーを減衰させ、外部への漏れ量を減らすことを目的としています。以下の3つの損失の組み合わせによって電磁波を減衰させます。

1.反射損失

シールド材表面での反射によって生じる損失です。シールド材の導電性によって反射損失は異なり、金属のように導電率が大きい材質ほど反射損失も大きくなります。

2.減衰損失

シールド材通過時の過電流による損失で、表皮効果としても知られています。シールド材の厚さが厚いほど、また透磁率や導電性が高いほど減衰率は高くなります。

3.多重反射損失

シールド材内部での電磁波の繰り返し反射によって起こる損失です。

EMIシールドの効果算出

EMIシールドの性能に関わるシールド効果は、「シェルクノフの式」で求められます。反射損失と減衰損失、多重反射損失の総和がシールド効果の性能となり、入射電界強度Eiと減衰後の電界強度Etの比を対数化した数値となります。

EMIシールドの効果算出

EMIシールドの性能表記と試験法

EMIシールドの性能は「dB:decibel」値によって評価され、以下のように性能が分類されています。

シールド効果[dB] 減衰量 シールド率
20 1/10 90%
40 1/100 99%
60 1/1,000 99.9%
80 1/10,000 99.99%
100 1/100,000 99.999%

EMIシールドの性能を計測する方法には「KEC法」「DFFC法」「FS(自由空間)法」などの方法があり、これ以外にも「アドバンテスト法」や「ベキスキャン法」があります。計測したい電磁波の周波数や対象物の形状によって、選択しましょう。

EMIシールドの種類

EMIシールドにおいてノイズの減衰効果を高めるためには、導電率や透磁率が高い材料で、ノイズ発生源を隙間なく囲うことが理想的です。筐体材料としての金属板は、高いEMIシールド効果が期待できますが、実際の機器設計にあたっては、筐体の隙間(ケースとカバーの間の電気的不連続)や通風のための開口部分、ケーブルの突き出しなどにより、金属筐体のみでのEMIシールドは難しいのが実情です。

そのため、使用箇所や目的に応じてEMIシールドには以下のような材料が使われています。

シールド部材 概要
導電性エラストマー シリコンに導電性フィラーを充填したシート状またはひも状のEMIシールドガスケット
ソフトシールド 導電性ファブリック(ニッケル・メッキを施したナイロン素材)をウレタン・スポンジの芯材に被覆したEMIシールドガスケット
シールドフィンガーズ 弾性性能特に優れているベリリウム銅合金を材料として使用したグランディング/EMIシールディング製品
シールドライン 特殊金属金網を紐状に成型したEMIシールドガスケット
Cho-Form (FIP Gasket) 金属やプラスチックの筐体へ自動実装した導電性シリコン・ガスケット
精密エキスパンドメタル 通気や可視性能を必要とされる開口部分に使用されるEMIシールド用精密エキスパンドメタル
シールド ハニカム 高い通気性能を要求される開口部で使用されるハニカム形状のEMIシールド製品
導電テープ 導電性感圧接着剤が裏打ちされた金属箔(銅またはアルミ)テープ
導電プラスチック PC-ABSのなかにニッケルメッキグラファイト繊維を分散させることで導電性能を付与した導電プラスチック
電波吸収体 電磁波ノイズを吸収するためのEMI対策部材。原理の異なる「抑制型電波吸収体」と「共振型電波吸収体」があります。
パーマロイテープ ニッケル合金を主とした磁性体をフォイル状にした磁気シールド製品
シールド缶 EMIシールド用の精密板金部品

※TWC取扱い商品

EMIシールドのご相談は株式会社TWCへ

EMIシールドにはさまざまな種類があり、使用環境に応じた材料選定はもちろん、EMIシールド効果の事前検証が必要不可欠です。株式会社TWCでは、ガスケットや導電性エラストマー、ソフトガスケットやシールドフィンガーズなどのさまざまなEMIシールド製品を取り扱っております。

各種EMIシールド製品については、製品ページをご確認ください。

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